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コロナで感じた恐怖の正体【香川正修師】

こんにちは、香川県の浄土真宗僧侶香川正修です。

第2波の様相を見せている新型コロナ感染拡大、不安な日々が続きます。

日本赤十字社の動画「ウイルスの次にやってくるもの」が話題になりました。

ウイルス感染によってまずは病気、身体の問題が起こります。

そして次にやってくるのは恐怖、これは心の問題

感染が広がるにつれて、世の中にはさまざまな言動が出てきました。

  • 恐怖からくる人種や職種への差別
  • マスクをしていない人への暴力
  • 自粛警察
  • ストレスによる虐待やDV
  • 自分さえよければと買い占めに走る人
  • ウイルスをばらまいてやるという人

人を傷つけるような振る舞いが目立つようになったと思います。

コロナ以前はどうだった?

このような振る舞いはコロナ以前は無かったのでしょうか?

絵本作家の五味太郎氏のことばが心に刺さりました。

コロナ禍じゃなかったときは、居心地がよかった?

普段から感じてる不安が、ひるがえってコロナに移っているだけじゃないかな。

(朝日新聞Desital)

子供たちへのメッセージなのですが、大人である私たちにも同じく大切なことを伝えてくださっているように思います。

コロナによってはじめて不安に襲われたのではなく、普段から感じていた不安が表に出てきて、差別や暴力、他人を傷つける行動につながったのではないか。

では、その普段から感じていた不安とはどのようなものでしょうか。

私達の不安とは。何が一番大事なこと?

五味氏は続けます。

働き方も国会も学校も、色んなことの本質が露呈されちゃってる。

五輪の延期も、オリンピックより人の命って結構大事なんだなとやっと再確認したんだろうし、優先順位がはっきりしてくる。

朝日新聞Desital

仕事、お金など大事なものはたくさんあります。

しかし、それよりも命が大事と多くの方が再認識したのでしょう。

日本赤十字社の動画では「過剰な防衛本能」と表現されていますが、やはり、最も大事なのは命、自分を守りたいのです。

自分を守るためには?

自分を守るために、仏教の開祖、お釈迦さまはこうおっしゃいます。

すべてのものは暴力におびえ、すべての者は死をおそれる

『真理のことば(ダンマパダ)』

自分よりもさらに愛しいものをどこにも見出さなかった。

そのように、他人にとってもそれぞれの自己がいとしいのである。

それ故に、自分のために他人を害してはならない

『感興のことば(ウダーナヴァルガ)』

私たちは身体や心を傷つけるもの怖れを感じます。

私が安心して生きていくには、私が傷つけられることなく大事にされることが必要なのです。

そのためには、他を大事にすることが必要になります。

仏教では、すべてのいのちはつながっていると考えます。

前より良くしましょうよ

五味氏はおっしゃいます。

世界の全体像は誰もわからない。

でも、これをなかったことにはできないんだから、乗りこえていくというより、前よりよくしましょうよ。

朝日新聞Desital

未知のウイルス感染と遭遇して見えてきた私たちの姿はどうだったでしょうか。

これをなかったことにはできません。

きちんと見据えて、よくしていかなければなりません。

「すべてのいのちを大事にすることが私を大事にすることなのに、自分だけ良ければよいと考え、他を傷つけ、それによって自らも傷ついていないか。」

という、仏さまの声が聞こえてきませんか。

仏教は、本当のいのちの在り方に目覚めさせてくれます

すべてのいのちと共に…南無阿弥陀仏

浄土真宗は、お念仏「南無阿弥陀仏ナモアミダブツ」によって、いのちの在り方と往き先を見定めます。

アミダとは、はかりしれないひかりといのちのはたらき

そのひかりによって私の姿が照らさし出され、そのいのちによって私が支えられ願われていると気づかされます。

そして、安心して、すべてのいのちと共に歩む中にお浄土が開かれています

新型コロナで感じた恐怖、不安。

それは普段から持っていたものです。

今より、前より、よく生きるために、仏さまの声に耳を傾けてみませんか。

最後になりましたが、新型コロナ、豪雨災害などの被害にあわれている方々にお見舞い申し上げます。

南無阿弥陀仏

この記事を書いた人

香川正修師

香川県在住の真宗興正派の僧侶。本山布教使。
住職としての活動以外にもアートプログラム「よるしるべ」の開催に携わるなど、地域活性化に協力する中で、仏教を身近に感じてもらえるよう努めています。