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大変なのは修行だけじゃなかった!永平寺の厳しい自然との戦い【大鐵師】

こんにちは、曹洞宗の大鐵(だいてつ)です。

私は永平寺で7年間修行しました。

永平寺の修行の辛かったことランキングTOP3という記事にも書いた通り、修行は本当に厳しいものでした。

しかし永平寺は修行以外にも厳しいものがあるんです。

それは永平寺含む周辺の自然環境のもたらす厳しさです。

本記事では修行と同じ、いやそれ以上に厳しい永平寺の自然をご紹介します。

永平寺の自然は修行と同じくらい厳しい

曹洞宗の開祖道元禅師はこのような詩を読まれました。

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷しかりけり

ですから、自然豊かな永平寺で修行しているとその美しさに心が洗われるのだろう、と想像されるかもしれません。

ところがどっこい、実際の自然は生きるか死ぬかの過酷な世界

私は山深い修行道場で修行していましたので、自然界とは常に対決の日々でした。

春はムカデとヤスデ

春は花・・・とはいかず、春にでてくる敵はムカデヤスデです。

庭の石を退ければムカデの大群。

廊下を這いずりまわるヤスデ。

しかも青や赤や毒々しい色をしています。

カラフルですが、その色の綺麗さがより気持ち悪さを助長します。

修行僧もムカデの被害にあう

寝ているとムカデが夜這いをかけてきて、足や耳を噛まれる修行僧が続出しました。

私は手袋をつけようとしたら、その中にムカデがいました。

手を噛まれてしまい、1週間ほど腫れて痛かったです。

対処方法はムカデを使った毒消しです。

ムカデをピンセットで捕まえてビンに入れて油を入れておきます。

するとムカデの毒に効く薬ができ上がるのです。

その油を付けておくと毒が自然と抜けていきます。

まさに毒をもって毒を制すですね。

夏はアブ、クマバチ、ツチバチ、カマドウマ

夏はアブ、クマバチ、ツチバチ、カマドウマと盛りだくさん。

なぜか蚊はあまり見ることがありませんでした。

中でも異常に多いのがアブです。

嚙まれると蚊の倍以上腫れますし、とても痛かったです。

こんなに痛いなら、まだ蚊がいる方が良いと思っていました。

アブはきれいな水があるところにたくさんいるそうです。

ほかにもクマバチは柱の間によく巣を作りました。

たまに日本ミツバチもお寺に巣を作りました。

何年かに1回は境内の中でスズメバチの巣を見ました。

修行僧にも参詣者にとってもスズメバチは本当に危険です。

山林係の職員さんがいるので、見つけ次第退治してくれていました。

秋はクマ、イノシシなど

秋はクマとイノシシです。

虫に比べて急に大型の敵になります。

クマやイノシシもお寺の中に迷い込んでくるのです。

永平寺の山奥には永平寺ダムというダムがあります。

永平寺よりさらに奥まった場所にあって、そこまで散歩に行くと木の実やムカゴ、茗荷が沢山実っています。

その秋の実りを狙って、クマやイノシシが現れるのです。

たまに永平寺の庭に現れることもあります。

見つけたら猟銃会の方々に通報して、捕獲してもらっていました。

冬はカメムシ

冬は寒いので虫はいないと思ったら大違い。

冬はカメムシです。

永平寺の屋根裏で冬眠していましたね。

てんとう虫などもいましたが、やはりカメムシが圧倒的に多かったです。

永平寺は冬から春にかけてとても虫臭くなります。

カメムシはガムテープでくっつけて退治していきます。

雪とつららもすごい

冬が近づくと、雪が降る前に建物の周りを雪囲いをします。

そして実際に冬が到来し、本格的に雪が積もってくると全ての修行を中止にして雪カキを行います。

修行僧総出でスコップを使って雪カキを行うのです。

これもある種の修行でしたね。

消火設備の点検も兼ねて、消火栓の水を使って雪を溶かすこともありました。

そうやって、総力をあげて雪対策をしますが永平寺は山深く、雪がしぶとく残ります。

冬に豪雪したら、全部解けるまで7月まで雪が残っていることもありました。

冷夏のときは次の冬まで残るときもあります。

雪が溶けたら一安心・・・とはいかず、次はつららが発生するのです。

雪溶けの水滴がどんどん垂れてきて、軒下にはおおきなつららが発生します。

「これが落ちてきたら、身体に刺さるだろうな・・・。」

と思いながら、いつもみていました。

過酷な永平寺の自然

自然界は本当に過酷ですね。

無益な殺生は本来禁止なのですが、現実世界はやらなければやられる世界です。

自然は容赦しません。

我が身を守るために渋々殺生せざるを得ないのです。

ムカデ、アブ、蜂は刺されてアナフィラキシーになることもあります。

カメムシは衣についたら、匂いが中々落ちません。

ほうきで払ってもキリがありません。

渋々取り除くことが最善なのです。

エゴかもしれませんが、殺生した生きものたちのために日々の読経が供養と思いながら取り組まねばならないのです。

殺生は人間のエゴです。

誰しも背中にエゴを抱えながら生きています。

許されようが無かろうが生きていくしかありません

この記事を書いた人

大鐵師

三重県在住の曹洞宗僧侶。
失敗のとらえ方についてよくお話します。
永平寺の修行時代のエピソードを中心にコラムを書いています。


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