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亡き方と共に過ごすお盆を【奥田章吾師】

こんにちは、浄土真宗本願寺派僧侶の奥田章吾です。

長い梅雨が明け、8月に入ったと思えば、もうすぐお盆ですね。

お盆期間はゆっくり過ごされる方が多いかと思いますが、飲食店や旅行会社で勤務している人など、仕事によっては逆に忙しくなる方もいます。

お坊さんにとってもお盆は1年で一番忙しい時期になります。

“お盆”という風物詩

ところが、お盆は忙しいだけではありません。

昨年まで京都で勉強をしていた私は、お盆の時期だけ北海道にある実家のお寺に帰省し、お手伝いをしていました。

お盆の時期にしか会うことのないご門徒さんと時間を共にできることは、嬉しくもあります。

1軒1軒ご門徒のお宅へお参りに歩き、お寺の境内で盆踊りを踊り、本堂では法要を勤め、お墓や納骨堂を掃除する。

忙しい時期ですが、沢山の方と時間を共にするお盆は風物詩でもありました。

しかし、今年はいつもとは違うお盆になりそうです。

私は2020年から東京のお寺で勤めており、今年は新型コロナウイルスの影響もあって実家のお寺には帰ることができません。

とても寂しい思いもありますが、

例年とは違ったお盆を過ごす方も多くなることでしょう。

あなたは、どんなお盆を過ごされますでしょうか?

お盆の過ごし方

お盆になると、地元に帰る人が増えてきます。

地元に帰らずとも、お盆は毎年◯◯をしている、というように、人によって決まった過ごし方があるようですね。

私の地元、北海道の伊達市は高齢化が進んでいますが、お盆の時期は若者で賑わいます

私の友人たちも集まり、キャンプや旅行、BBQなどのお誘いがあります。

でも、いつも忙しくてなかなか行けないんですよね。

毎年残念に思うのですが、夕ご飯だけのお誘いなら行く時もあります。

そこで会う友人たちに一つ訊いてみます。

「お墓参りはもう行ったかい?」

と。

すると、

「先週行ってきた!」

「明日行く」

と答えてくれる友人が多く、とても嬉しく思います。

しかし、中には、

「今年は行ってない」

と答える友人もいます。

やはり少し寂しい思いがありますね。

家族が集まるお盆

お盆のお勤めにご門徒のお宅へお伺いしますと様々な風景があります。

多くの皆さんと一緒にお勤めすることもありますが、1人暮らしのおばあちゃんのお宅で私と2人でゆっくりとお勤めをすることも多くあります。

あるお宅に行った時の話です。

ご門徒のおじいちゃんがお1人で出迎えてくださったので、いつも通り私と2人で、早速お勤めを始めました。

すると庭に車が停まり、バタバタッと多くの人が家の中に入ってくるのが聞こえました。

「よかった〜!間に合ったね!」

という声を背中で受け止めながら、私はお勤めを続けました。

お勤めが終わり、後ろを向くと、息子さん夫婦にお孫さんなど、10人以上の方々が正座をして、こちらを見ていました。

話を聞くと、遠くで暮らしている息子さん夫婦がお盆のお勤めの時間に合わせて帰省したのだそうです。

親族みんなが集まれる日は、年の中でも限られていますよね。

子どもたちも真剣に手を合わせている姿が、とても印象的でした。

亡き人を偲ぶお盆

ゴールデンウィークや年末年始など、親族が集まる時期は他にもありますが、お盆はそれらの時期とは少し異なる雰囲気があるように思います。

上手く言葉に出来ませんが、どこかゆったりとした時間が流れ、すーっと心が落ち着いていくような感覚。

それはもちろん、様々な要因があるとは思いますが、他のシーズンとは違う、お盆の特色とは一体なんでしょうか。

それは

”亡き人を偲ぶ”

ということだと思います。

お寺でお勤めをしたり、家のお仏壇に手を合わせたり、お墓参りに行ったり……

宗教的な営みがあるからこそ、お盆のシーズンは独特な空気感があるように思います。

それでは、“亡き人を偲ぶ”って、一体どういうことでしょうか。

それは、

亡き方を思い、亡き方の声を聞く

ということだと思います。

亡き方を思い、亡き方の声を聞く

お盆のお勤めは、亡き方を偲び、今を生きる私たちが仏さまの教えを聞かせていただくことが大きな意義の1つです。

今ある私の命は、先祖代々受け継がれてきた命であると同時に、様々な関係性によって支えられてきた命です。

その亡くなった大切な方々を偲びつつ、現に今、死に向かって生きる私の命のあり様を、仏さまに聞いていくのがお盆のお勤めです。

本堂やお仏壇の前に座り、静かに、ゆっくりと手を合わす時、亡き大切な方々が、私に向かって語りかけてくるように感じることがあります。

「しょうご、しっかりと仏さんの話を聞いているか」

「しょうご、身体は大丈夫か。今は大変かもしれないが、無理するなよ」

実際に耳では聞こえてきませんが、確かに心に響いてくる、“声なき声”です。

私にとって、亡き方は、亡き方として存在しているんですね。

お盆になると、ゆったりとした時間が流れ、どこか特別な思いが沸き起こってくるのは、今を生きている家族や友人たちだけが集まるのだけでなく、“亡き方とも”共に過ごす時間を感じられるから、ではないでしょうか。

––––亡くなった大切な方はどんな方でしたか?

––––あなたに、どんな言葉を語りかけてくれていますか?

今年は大変な状況ではあります。

それぞれにできる範囲でお参りいただき、亡き方を思い、亡き方の声を聞く時間を大切にする

そんなお盆を、ぜひ過ごしていただければと思います。


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