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お布施のこころ三方一徳【大鐵師】

こんにちは、曹洞宗の大鐵です。

布施とは寺社仏閣への寄付や、法事などの時に僧侶に渡す報酬をよくお布施と言いますが、本来どんな意味があるかご存知でしょうか?

布施とは、簡単に言うと寄付施しです。

しかし、ただの寄付ではなく、お互いに喜びを与えるような寄付でなくては布施とは言えないのです。

お布施

先日読んだお経のなかに布施について説いた文章がありました。

布施というはむさぼらざるなり、我物わがものに非ざれども布施をえざる道理あり、其物そのものの軽きを嫌わず、其功のじつなるべきなり、 然あれば則ち一句一偈の法をも布施すべし、此生侘生ししょうたしょう善種ぜんしゅとなる、一銭一草のたからをも布施すべし、此世侘世しせたせの善根を兆す、法も財なるべし、財も法なるべし ただ彼が報謝ほうしゃを貪らず、自らが力をわかつなり、舟を置き橋を渡すも布施の檀度だんどなり、治生産業ちしょうさんぎょうもとより布施に非ざること無し。

修証義四章
現代語訳

布施というのは、欲張らないことをいいます。

自分のものではなくても布施してはならないということはありません。

僅かなものでは駄目だというのではなく、その実践こそ大切なのです。

そうであるから、たとえ一言一句の法話で布施をしたらよいのです。

この世やあの世の善き種となります。

僅かなお金でも物でも布施をしたらよいので、この世やあの世の善い行いとなります。

宝であるし、物質的なものも法なのです。

ただ自分の報酬を独り占めしないで、自分のできる限りの財産なり法(思いやりの持った言葉)などを他に分け与えることが大切です。

例えば舟を置いたり橋をかけたりするのも布施といえます。

また、生計をたてるための仕事をすることも布施となりましょう。

このコラムでは太字で示している「分のものではなくても布施してはならないということはありません。」という部分を取り上げて紹介します。

自分のものではなくても
布施してはならないということはない

自分のものではなくても布施してはならないということはない。と書くと少しわかりにくいですよね。

自分の所有する物でなくとも、布施の心で人に施しても良い、と言い換えられるでしょうか。

わかりやすい例をあげるなら、電車で困っている人に席を譲るといった行為がこれにあたります。

電車の座席は自分のものでは無いけれども、人に与えることができます。 

和菓子屋さんでのできごと

私は名古屋のお寺で勉強会があった時、帰りに鬼饅頭で有名な和菓子屋さんに立ち寄りました。

その和菓子屋さんはできたての饅頭をだしてくださるのがウリなので、最低でも注文してから15分以上待たなくてはなりません。

私が注文したときには

「ご用意できるまで、40分ほどお待ちください。」

と店員さんに言われましたので、待っている間に街を散策しておりました。

40分後・・・

時間通りに店に戻り、自分の注文した鬼饅頭を受け取ろうとしたちょうどその時。

杖を突いたおばあさんがお店に入ってきました。

そのおばあさんは鬼饅頭をどうしても家族に食べさせたいと言って注文しましたが、どうやら注文が混んでいるらしくすぐにはだしてもらえなさそうな様子でした。

店員さんも

「今でしたら1時間程度お待ちいただくことになります。」

と言われ、おばあさんは困っているようでした。

その様子をみて、私は

「先ほど私が注文した鬼饅頭がちょうどできあがったようなので、よろしかったらこちらをどうぞ。」

とおばあさんに差し出しました。

おばあさんは最初は受け取らなかったものの、説得の末できたての鬼饅頭を手に、喜んで帰っていかれました。

私はそのあとの予定も特になかったので、1時間程度自由に過ごしても問題ありません。

そこで、もう一度鬼饅頭を注文しなおして、また街をブラブラして戻ってきました。

再注文から1時間後・・・

再び、店に戻ると私の注文した鬼饅頭ができていました。

その時、店員さんに感謝されて、おまけとしていろいろな饅頭を付けてくれました。

私は

「タダでこんなにいただくわけにはいきませんので、代金をお支払いします。」

といいました。

しかし、店員さんは

「いやいや、このお代はいただけません。どうぞお持ちください。」

と押し切られましたので、三顧の礼をもっていただいて帰りました。

今思うとこれが布施の行いかな?と思いました。

おばあさんは鬼饅頭をすぐに持ち帰れたこと。

店員さんはお客さんにサービスを提供できたこと。

私は街歩きがゆっくりでき、注文した以上の饅頭がいただけたこと。

これは「三方一両損」ならず「三方一徳」かな。

誰も傷ついておらず、誰もが喜んで終わった出来事です。

皆自分のものでは無いけれども布施が行えました。

この記事を書いた人

大鐵師

三重県在住の曹洞宗僧侶。
失敗のとらえ方についてよくお話します。
永平寺の修行時代のエピソードを中心にコラムを書いています。


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