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誕生を祝う意味〜親鸞聖人ご誕生850年に寄せて~【香川正修師】

こんにちは、真宗興正派の布教使香川正修です。

浄土真宗の宗祖・親鸞聖人は承安3年(1173)4月1日にお生まれになられたと伝わっています。

今年(2023年)は親鸞聖人がご誕生から850年という節目の年。

実は私の誕生日も4月1日。

親鸞聖人の生まれ変わり?とは思っていませんが、ちょっと嬉しい共通点。

しかし、親鸞聖人は旧暦の4月1日、新暦では5月21日。

本当はまったく違っていたという残念な事実…

現在では、個人の誕生日を祝うことは一般的になっていますが、もともと日本には誕生日を祝う習慣がありませんでした

昔は数え年で年齢を数えていた

昔は「数え年」で年齢を数えることが普通で、お正月が来るとみんな一斉に年を取っていたためです。

日本で個人の誕生日が祝われるようになったのは、昭和24年。

「年齢のとなえ方に関する法律」が制定されて以降、満年齢での数え方が普及し始めてからだと言われています。

海外の誕生日は?

では海外ではどうでしょうか。

イエス・キリストの誕生日「クリスマス」などが代表的ですが、誕生を祝うことは宗教的な意味合いが強いものだったようです。

いつから個人の誕生日を祝うようになったのかについては諸説あります。

ドイツのキンダーフェスト

15世紀のドイツでは、「キンダーフェスト」と呼ばれる子どもの誕生日会が行われていました。

当時のドイツでは、子どもの誕生日に悪霊がやってくると考えられていたため、バースデーケーキの上に一日中ろうそくを灯すことで神に祈りを捧げ、子どもを守っていたそうです。

そして、一日が無事におわると、夕食後に皆でそのケーキを食べたといいます。

ただ、子どもの誕生日会が行われていたのは、一部の裕福な人々の間でのこと。

庶民には誕生日の風習は広まってはいなかったようです。

誕生日ケーキ

誕生日にはケーキが付きものですが、バースデーケーキの起源は、古代ギリシャの時代にまで遡るそうです。

古代ギリシャ人は、月の女神であるアルテミスの誕生を祝うため、月の形を模した丸いハニーケーキを焼いて、アルテミスへのお供え物としました。

このとき、ケーキにさしたろうそくに火を灯し、月の光を表したそうです。

当時の人々は、ローソクの明るい光が、天上にいる神に自分たちの願いを届けてくれると考えていたのでしょうか。

日本の風習「七五三」

さて、日本には伝統的な風習として「七五三」がありますが、始まりは室町時代と言われています。

当時は、現代ほど医学が発達しておらず、栄養も乏しかったため、乳幼児のうちに亡くなってしまう子どもが少なくありませんでした。

そこで、七歳、五歳、三歳まで無事に育ったことへの感謝を込めて、また、幼い子どもから少年少女へと成長するひとつの節目を祝う意味を込めて、神さまに祈りを捧げるようになったそうです。

その思いは千歳飴にも表れています。

「七五三」は、日本の伝統的な誕生日の風習だといえるかもしれません。

誕生日のお祝いの意味

このように見てくると、誕生日を祝うということは、神聖なもの、宗教的なものであると感じられてきます。

毎年誕生を祝うということは、この一年の無事を感謝する、そしてこれから先の一年の無事を願うということ。

それは、私にとって大切な存在、私のことを見守ってくださっている神仏に祈りを捧げる、その誕生を祝うという形にもあらわれてきます。

みなさまにとって大切な存在はどなたでしょうか。

浄土真宗では、親鸞聖人がお生まれになったからこそ、お念仏が私のもとに伝わってきたのだと喜び、その誕生をお祝いします。

浄土真宗各派本山では今年から来年にかけて親鸞聖人ご誕生850年の法要をお勤めします。

真宗興正派本山興正寺では4月18~20日です。

誕生を祝うということの意味を深く噛みしめてお勤めしたいと思います。

この記事を書いた人

香川正修師

香川県在住の真宗興正派の僧侶。本山布教使。
住職としての活動以外にもアートプログラム「よるしるべ」の開催に携わるなど、地域活性化に協力する中で、仏教を身近に感じてもらえるよう努めています。