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[第3章]永平寺での修行がはじまる。永平寺の朝は早い【大鐵師】

こんにちは、曹洞宗の大鐵です。

無事に永平寺の修行僧となった13番上山組もいよいよ本格的な修行に入ります。

ここからは修行僧の1日のスケジュールに沿って、永平寺での修行を紹介していこうと思います。

まずは1日のスタート、起床について。

永平寺では朝起きる時から修行です。

この記事では永平寺の朝、僧侶はどのように起きているのか紹介します。

永平寺の朝は早い

永平寺の朝はとても早く、むしろ深夜といってもいいほど。

春秋は4時、冬は4時半、夏は3時半に起床しなければなりません。

あたりがまだ真っ暗な時間から起床して修行がスタートします。

お寺好きの知人に言わせると、宿坊で泊まる時に一番勇気のいるお寺が永平寺だそうです。

山深く、寒く、朝が早い。

でも朝のお勤めに参拝すると、大勢の修行僧が音もずれずに低音で唱えるお経が最高にありがたいそうです。

私自身そのような評価が頂けたことを嬉しく思いますが、その優雅さの下では修行僧は水鳥のように必死に水掻きしているような状態でした。

目覚まし係は当番制

当番制で回ってくる修行僧の仕事の1つが目覚まし係です。

目覚まし係の当番があたると、他の修行僧よりもさらに早く起きる必要があります。

これがつらい

ただでさえ早い起床時間30分前には起きて、衣や着物を用意します。

目覚まし係は堂内を走りまわるので、裾が絡まらないように裾をたくしあげて着装します。

起床時間になると目覚まし係は手に振鈴しんれいを持って、振り鳴らしながら堂内を走って、僧侶を起こしてまわるのです。

振鈴しんれいというのはハンドベルのような大きな鈴です。

この振鈴を手に持って振ることでジリリリリリリとまさに目覚まし時計のような音がなるのです。

振鈴の音が鳴り響くと、修行僧たちはいっせいに起きて修行準備にとりかかります。

では目覚まし係はどうやって起きるのか?

みんなよりも早く起きる目覚まし係はどうやって起きるのでしょうか?

寝過ごさないように徹夜・・・というわけではありません。

気合と根性でなんとか起きていた時代もありますが、今はちゃんと目覚まし時計を使っています。

各部署ごとに1台は代々伝わるライデンという目覚まし時計があり、振鈴さながらの大きな音が鳴るのでそれで起床します。

修行僧は集団生活なので、目覚まし係の当番なのに起きられないなんてことがあると、他の寮員から恨みをかったりします。

もし目覚まし時計を持っていない場合はどうするの?

目覚まし時計がない場合は購入することもできるんです。

これもいずれ紹介しますが「4」と「9」の付く日に御用商という出張販売するお店が永平寺に来ます。

お寺の一部屋で店を開き、その中に衣屋、お香屋、本屋と並び、時計屋もあります。

目覚ましが必要な場合はその御用商のお店で目覚まし時計を購入します。

ところで江戸時代以前の人達はどうやって起きていたのか?

資料に乏しく誰か教えて欲しいものです。

目覚まし係以外にも早起きの部署がある

目覚まし係の他にも起床時間前に起きる部署や当番がいくつかあります。

役職は当番制で起床時間前に起きてそれぞれの仕事につきます。

直堂(じきどう)

直堂という係は僧堂という修行僧が坐禅、食事、睡眠を行う場所を清掃管理する当番です。

起床したら修行僧がおこなう朝の坐禅の準備を行います。

直堂加番(じきどうかばん)

直堂加番は上記の直堂を補佐する当番です。

僧堂で寝ている修行僧を起こさなくてはならないため早めに起きます。

典座(てんぞ)の部署

典座てんぞというのは仏様にお供えするお膳、宿坊や修行僧の食事を作る部署です。

1日の初めに永平寺内にある仏様すべてのお膳を起床時間までに作らなくてはならないために起床時間がどうしても早くなります。

起床時間の2時間前に起きる必要があります、もはや寝る時間ですね。

侍真寮(じしんりょう)

侍真寮じしんりょうという係は承陽殿じょうようでんという永平寺の開祖道元禅師歴代住職の位牌仏像を管理する部署です。

起床時間までに承陽殿の掃除と開祖さまにお経を唱えるので、侍真寮じしんりょうも起床時間の2時間前の起床が原則となります。

法堂(はっとう)

法堂は朝のお勤めや法要を行う法堂と仏殿を管理する部署です。

起床時間までに掃除を済ませ、朝のお勤めの準備を行います。

宿泊者のお世話をする接茶寮(せっちゃりょう)

接茶寮は宿泊者を朝の法話やお勤めに案内をするために早く起きます。

受付係の受処(うけしょ)

受処は受付係のことで、朝のお勤めに参拝する方のために入口を開けたり、参拝券の販売機の準備をしたり、門扉を開くために早く起きます。

お寺は基本的にコンビニと同じで閉館というものが無いと教わりました。

だから、非常識な時間に門を叩く参拝者もたまにいました。

また、海外からの問い合わせも多いため時差の関係で夜中に電話が鳴る事もあります。

早起きの当番が当たるのは修行僧の約1割

ここまで紹介してきたように、永平寺には修行僧がこなすべき当番がたくさんあります。

これだけ紹介するとほとんどの人が起床時間より早く起きないといけないように感じますよね。

早起きの当番に当たるのは修行僧の約1割程度で、ほどんどの修行僧は起床時間の振鈴の音で起きます。

それでも早いんですけどね。

いずれ紹介しますが夜の点検当番に当たった方は朝のお勤めが終わるまで休む事が出来ます。

まとめ

このように永平寺での修行時代のことを思い出しながら書いてみると、我ながらよく耐えてきたなと思う次第であります。

永平寺はとにかく朝が早い。

眠い。

朝が起きられない。

修行では覚えることが多く、就寝時間の21時を超えても報告会や自分の当番のお勤めを学ぶための予習を行います。

失敗したら反省し、気付けば夜の22時を過ぎています。

夜遅くまで活動していることを点検係に見つかるとペナルティもありますので、早く寝ろと急かされます。

勉強時間の不足をカバーするために起床時間よりも早く起き、当日の当番の勉強をすることもあります。

すると寝不足は続き、坐禅、朝のお勤めではつい、うとうと寝てしまい先輩から怒られるはめに。

役割を覚えてしまえば大したこともないのですが、そこまで行き着くまでが大変なのです。

眠気をとるためには何でもした

眠気を取るために努力をした事は数えきれません。

押入れに隠れて寝たこともあります。

仮病を使い、体温計の温度を上げる方法を聞いて実践し、熱があると延寿堂という病気の人が休む保健室の様な場所で休むこともありました。

サボっても自分のためにならないと思い、3日ほどですぐに出ました。

よく考えると修行は眠気から如何に解放されるかが私の課題であったと思います。

そんなことと思った人もいるかもしれませんが、睡眠と起床は年代、職業、性別問わず、食事と同じくらい大切な課題ではないでしょうか?

ここで学んだことは人はどんな状況でも必死で生きる事です。

どんなに恥ずかしくても生きるのが大切です。

起床のあとは洗面を行います。

次のコラムでは洗面のときに行う作法などを紹介します。

コラム執筆者

大鐵師

三重県在住の曹洞宗僧侶。
失敗のとらえ方についてよくお話します。
永平寺の修行時代のエピソードを中心にコラムを書いています。

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