こんにちは、浄土真宗本願寺派の石田慶嗣です。
以前飼っていた愛犬ハナちゃんが亡くなって4年が経過。
子どもも私も寂しい思いをしていたが、新型コロナウイルスで巣ごもり生活の中、慶誠寺に新しい家族が来た。
チワワとパピヨンのミックスでチワパピ犬。
名前は「チョコちゃん」。
子どもたちも新しい家族ができたので大喜び。
久しぶりのペットに、家族の生活様式も「新しい生活様式」に変化した。
石田家のお犬様
その生活様式とは、「犬中心の生活」である。
室内犬を飼うこと自体が初めてで、毎日の散歩や食事の準備にお風呂など戸惑うことばかり。
まさに「お犬様」という扱いで迎えられた家族との関係は発見の連続で、戸惑いつつも新たな生活を楽しんでいる。
私はというと、手や足などは本気で噛まれて傷だらけ。
子犬の甘噛みといったかわいいものではなく、かなり痛い。
しかし新しい生活様式の「ソーシャルディスタンス」を取らなければと思いつつも、どんなに噛まれても、ついつい遊んでしまうのは何故だろう。
それはたぶん、一緒にいると癒されるからだ。
新しい生活様式では、できるだけ距離をとって濃厚接触を避け、手洗い、マスク着用、3密にならないことが大切だと言われている。
しかし家の中で、愛犬チョコちゃんとの濃厚接触は、自分が気を付けていても寄って来るので避けられないだろう。
コロナ禍の3密と仏教の三密
コロナウイルス感染拡大を防ぐためには「3密」を避けることが重要だと言われている。
感染予防のために避けるべき3密は以下の通り。
- 密閉(換気のできない密閉空間)
- 密集(人の集まる密集場所)
- 密接(近い距離での会話や密接場面)
この3つをさけることが大事である。
この3密という言葉はコロナ禍になって新たにうみだされた言葉だが、仏教にはもともと「三密」という言葉があったことも知っておきたい。
私の所属している浄土真宗では使わないが、仏教での三密は「空海がひらいた真言宗をはじめとする密教の教え」と言われている。
その三密とは、身密(身体・行動)、口密(言葉・発言)、意密(こころ・考え)についての教えとある。
コロナ禍で生まれた3密という言葉だが、今までの密閉・密集・密接できていた生活様式は「あたり前」ではなく「有り難い」生活様式だったと思う。
科学や文明の発展により便利になった現代において、自分たちの行っていることが「あたり前」と思ってしまう。
それは、ひいては危険な事かもしれない。
自分たちの行いが「あたり前」と思っていては、他者を認めることもできず、間違っていることさえも気づかなくなってしまう。
だから、「有り難い」と思えることが大切だと感じる。
有ること自体が難しいのだから、心から「ありがとう」と言えるのだと思う。
仏教では、智恩・感恩・報恩という教えがある。
受けている恩を知り、恩に感謝し、恩に報いることを感じることができれば、「南無阿弥陀仏」と報恩謝徳のお念仏が出てくるのであろう。
コラム執筆者
北海道在住の浄土真宗本願寺派僧侶。旭川龍谷学園理事長としての活躍に加え調香家やバーベキューインストラクターなど幅広い活動を行う。お寺でサウナを楽しめるテラトサウナなどの先進的な取り組みも注目される。